生徒さんと話した日々⑤:「合格祝いは人体模型でした、名前は…」Eさんのこと
このカテゴリーでは、これまで一緒に学んだ生徒さんについてお伝えします。
もちろん名前は伏せていますし、細部はぼやかしてありますが、どんな人物だったのかはご理解いただけるよう心掛けています。
出会いとEさんの第一印象
Eさんと出会ったのは、高校二年生の夏だったように思います。
落ち着いた話し方で、こちらの問いにもすぐに答えを出そうとせず、一度言葉を選んでから話すような印象がありました。
何かを「できる・できない」で判断するというより、その前に「どう感じているか」を大切にしている方、そんな第一印象を持ったのを覚えています。
一緒に取り組んだ学びの時間
Eさんは、将来は作業療法士を目指しているとはっきりと話していました。
ただ、その関心は資格や職業名にとどまらず、とても幅広いものでした。
たとえば、茶道に触れていたり、映画は配信サービスではなくDVDで観るのが好きだったり、
自分でフランスパンを焼くこともある、といった話が自然に出てきます。
どれも直接受験に役立つ話ではありませんが、「生活そのものへの関心」が、学びの土台にあるように感じられました。
作業療法士という志望についても、理学療法士より「日常」に広く触れられるからだと話していました。
推薦入試とその後の時間
推薦入試を経て、Eさんは目標としていた学校への合格を決めました。
その後は、入浴介助のアルバイトにも取り組んでいました。
その話の中で印象的だったのは、技術的なことよりも、
「入浴後、なんとなく顔色がよくなった気がする」
といった、ささやかな変化に目を向けていたことです。
相手の様子を細やかに感じ取りながら関わることを、ごく自然に続けているようでした。
映画の好み・ものの見方
映画の話になると、Eさんはいわゆる有名作品や話題作よりも、差別や戦争、社会の構造を扱った作品をよく観ていると話していました。
それも、強い主張をするためというより、「知っておきたい」「考えておきたい」という静かな動機からのように感じられました。
物事を急いで結論づけず、いったん受け取って、自分の中で寝かせる。
Eさんの関心の持ち方には、そうした姿勢が一貫していました。
いま、振り返って思うこと
Eさんは、目立つタイプではありませんが、時間をかけて周囲と関係をつくっていく力を持った方だと思います。
作業療法士という道も、自分なりの歩幅で、人と関わっていく延長線上に自然と置かれているように感じられました。
これから先も、生活や感覚に根ざしたまなざしを大切にしながら、歩いていかれるのだと思います。
応援しています。
関連する記事
Eさんのように、生活や関心の広がりを土台に進路を考える姿勢については、こちらの記事でも触れています。
