コラム

国語が育む【傾聴力・注意力・集中力】

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人が生きていくうえで、他者と関係することは避けられません。

他者と関係することは、話をすること、意見を交換すること、気持ちを分かち合うことなどであり、多く言葉を通じてなされます。

そうであるなら、自身がどのような言葉を使って、どのような考え・意思を持って伝えようとするかと同じくらい、相手が用いる言葉やその背後にある気持ち・感情などを注意深く感じ取ることが大切です。

「国語」は本来このような局面に大変役立つ科目だと考えています。

傾聴力

傾聴という言葉はカウンセリングの分野でしばしば使われますが、まずは自分が関係する相手の話によく耳を傾けることを指します。

言葉の背後にある思いや感情まで理解しようと試みる姿勢をも含むとされていますから、それはすなわち他者と関係することそのものであり、誰にとっても大切な心構えだといえます。

国語では、漢字など文字そのものの学習において、その漢字の成り立ちや含まれる意味合いに触れ、それらが組み合わさって形作られる言葉の意味も感じ取り、その連なりである文章から書き手の考えや自分の感じ方などを味わいます。

このプロセスでは、文字や漢字、言葉、文章を深く読み取り、理解することが自然と求められます。

したがって、教科書やノートを離れた一般の人間関係においても、同じように他者の話の内実をより理解しようとする傾聴力が育つことは相当に期待できるでしょう。

ドラマや映画が大好きな生徒さんがいろいろな言葉を知っていたり、話し上手だったりする場合があるのも、以上と似たようなプロセスが機能しているはずです。

注意力

傾聴するためには、自身が不注意で目の前の事柄以外のことを考えていたり、ぼうっとしたりしているわけにはいきません。

相手の言葉を的確にとらえ、その中身をよく理解しようと試みるとき、誰しもおのずと相手に注意を向けているものです。

反対にどうしても誰かの話が耳に入ってこないというときは、その人に対して興味がなかったり、話の内容に関心が湧かなかったりしているでしょう。(傾聴はそのような場合にも自分から深く寄り添う姿勢を指します。)

同様に、先に述べたような国語の学習においては、きちんと文章を理解しようとするならば、注意深くその文章や内容に取り組まなくてはなりません。

科目によっては、例えば何度も使う公式の適用など「手が覚えてるからラク」と、テレビアニメを眺めながら問題を解いているという生徒さんにも出会いました。

しかし、国語(や英語、言葉に関わるものなど)は気を散らしながら取り組むことが難しい科目です。

日常の読書も含め、文章を読んでも全然頭に入ってこない、という状況に遭遇したことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

したがって、その逆に、文章を読んできちんと中身が頭に入り、その理解に基づいて回答したり表現したりする国語は、注意力を育てるのにももってこいです。

集中力

注意力と明白な切り分けは難しいかもしれませんが、注意深く相手の話に耳を傾けるためには、一定の集中力が当然の前提となります。

じっと座っていられなかったり、話を聞きながら他のことをしていたりするのでは、よく注意して聴いているつもりでも漏れが生じがちでしょう。

そうした聴き方に基づく理解は限られたものとなる危険をはらみ、本当に自分や他者が望むものを把握することを妨げかねません。

国語の学習についても、ある部分だけよく読んで、他の部分は集中できず見逃しているという場合、筆者の考えの全体をとらえることが難しいですし、設問にも独断的な回答をしてしまう可能性があります。

裏返すと、適切に内容を理解するため、その文章全体をちょうどよい時間感覚で読み切り、そのうえで問題に取り組むという一定の集中力の涵養が国語科では前提となっているわけです。

国語専科では、このような「言葉が含み持つもの」を大切にした個別指導を行っています。
学習のことだけでなく、気持ちや関係性に寄り添う学びをご希望の方は、ぜひご相談ください。

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わたなべ
わたなべ
東京大学法学部卒業。
司法試験合格、研修後、業界を転向。
“対話で学びを拓く”をテーマに活動しています。
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