好きなように読んでいい ― 現代文の第一歩

“国語の力”と聞いて、まず思い浮かぶのは、いわゆる現代文の読解問題かもしれません。
今回から複数回にわたって、現代文の問題に対する取り組み方を、可能な限り詳細にまとめてみようと思います。
どう読むか、解くか
小学校の段階から、文章を読んで、それについて問われたことに解答するという学習が行われています。このとき、
- 書いてあることだけ答えなくてはダメ?
- 自分の意見は入れて読んだらダメ?
- まずは全文を読む? それとも設問を先に?
など、どのように文章に取り組むべきか、疑問が数多く出てくるものです。
学年が進み、テストや受験といった話に触れるようになれば、この疑問はもっと重要性を増してきます。
いろいろな考え方があるとは思いますが、ここでは大きな原則を示してみます。それは、
自分の好きなように読む
というものです。
つまり、小説や漫画、スマホでやり取りするメッセージなどを読むときと同じ感覚で、気負わずに読むことです。
そのほうが、筆者の言葉と自然に向き合えるからです。
読解に読み手の主観が加わることは避けられませんし、それで全くかまいません。
そもそも筆者・作者が書いた文章も、その人物の主観を抜きにして扱うことができないのですから。
記述問題も好きなように
同様に「○○について説明しなさい」などの記述問題も、第一歩は
好きなように、素直に答える
ことが大切です。
本文の言葉を引っ張ってきて、並べるようにして解答するのもよいですし、自分が理解した内容(感覚)を自分の言葉を使って答えてもOKです。
自然な感覚を生かす
このように、正しい形を狙わず答えてみることで、文章や問題に対する自分自身の応答の仕方、自分の自然な読み方・書き方を自覚することが最大のポイントです。
自分のナチュラルな感覚を把握してこそ、文章と対話することが可能となります。(国語の真髄…「文章と対話する力とは?」という話題はこちらで詳しく。)
日常生活における会話、やり取りと同じく、型や構えを優先していては、深く話し関係することは難しいのです。
得点が取れない?
好きなように答えていては得点できないのではないか、と疑問を感じる方もいらっしゃるでしょう。
しかし国語力の本質は、正解不正解の地平にはありません。
「正解」とされる表現と似たような言葉を並べられたかではなく、むしろ、文章や問題の主旨・趣旨をとらえ、理解できているかどうかが国語力の中身です。
この意味で、難問であればあるほど「正解」が明瞭でなくなり、どのように得点が入るのか分からなくなるのが国語(言葉)の性質ですね。
だけれども解答らしきものを目にすれば「確かにそうだよな」と感じられる、この両面が結びついているのが国語力です。
もちろん正解・得点にもたどり着ける
「正解」は、上に述べた国語力の一端を抽出してチェックするためのものですから、文章の主旨・趣旨を理解するよう心掛けていれば、不思議と到達できます。
その大前提として、はっきりしないけれども「確かにそういうことね」と感じられるためには、答えを探すのではなく、自分の感じ方を用いて解く以外にないのです。
解き方やノウハウを先に持ってきて国語の問題を解いている人は、この感覚が育まれず、国語の面白みが感じられなかったり、記述できてもどこか収まらないふわっと感がなくなりません。
ですから、第一歩はあくまでもあなたなりに、
「好きなように」
そこから次のステップが見えてきます。
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